筋肉疲労のメカニズムを知りたい!〜原因と解消法2つのポイント〜
毎日激しい運動をしているスポーツ選手はもちろんのこと、一般人でも1日スポーツを楽しんだり長時間歩いたりすると筋肉疲労や筋肉痛を起こします。どうしてこのような状態になるのでしょうか。ここでは、筋肉疲労のメカニズムや回復方法などをご紹介します。
- 筋肉疲労のメカニズム
- 筋肉疲労を早く回復するには
- まとめ
1.筋肉疲労のメカニズム
筋肉疲労はどのようなメカニズムで起こるのでしょうか。ひとくちに筋肉疲労といっても、肉体的疲労と精神的疲労があります。
1-1.肉体的筋肉疲労とは
激しいスポーツ・長時間の立ち仕事・デスクワーク・育児や家事など同じ動作を繰り返し行うと筋肉が疲れます。筋肉が疲れる原因としては、現在では諸説あるのです。
- 「乳酸(にゅうさん)」原因説…運動中に起こる筋収縮により、筋肉への酸素供給は間に合わなくなります。そのために、エネルギー源であるブドウ糖が不完全燃焼を起こすのです。そのときに、「燃えカス」として乳酸が残ります。そして、乳酸は筋肉中にたまり筋肉を収縮するのです。筋肉が縮むと血行が悪くなり疲労を感じます。
- 「痛み物質」原因説…最近では乳酸原因説ではない説も支持されています。それは、傷付いた筋繊維や周辺組織が回復するときに炎症を起こし、そのときに発生する痛み物質(ヒスタミン・セロトニン・ブラジキニンほか)が筋肉をおおう繊維体「筋膜(きんまく)」を刺激するためという説です。
筋肉疲労は早い段階でケアをすることが大切です。
1-2.慢性化する筋肉疲労
本来、健康な状態なら筋肉は柔らかいものです。そして、動脈から流れ込んだ血液は筋肉内の毛細血管に分かれて流れ、静脈から出て行きます。ところが、筋肉が疲労して縮んでいる状態だと血管やリンパ管が圧迫されたままの状態になり血液がスムーズに流れません。
この状態を、慢性筋肉疲労といいます。慢性筋肉疲労になり、血流が衰えることでさまざまな弊害(へいがい)が引き起こされるのです。
- 血流が衰えるので筋肉への栄養補給が十分にできなくなる。
- 筋肉のPH(液体中の水素イオン濃度)が下がり酸性の疲労物質がたまる。
- PHが下がると体液が酸性に傾くので筋肉疲労だけではなく病気になりやすくなる。
たかが筋肉疲労だから…と放置するとほかの病気を招くことになるので要注意です。
1-2.精神的筋肉疲労とは
筋肉疲労は、精神的なストレスからも引き起こされます。仕事の悩みや、職場での人間関係、家庭問題などで悩みを抱えると自律神経が乱れて血液の循環が悪くなるのです。そのために、以下のような不調を感じるようになります。
- 倦怠(けんたい)感や脱力感。
- 胃腸の調子が悪くなる
- 首・肩・肩甲骨の筋肉に疲労感やコリを感じる。
首筋の後ろや背骨の左右、肩甲骨の内側はストレスからくる影響がでやすい場所です。慢性的にこれらの部分に痛みを感じる場合はストレスの原因を取り除くことが大切になります。
2.筋肉疲労を早く回復するには
筋肉疲労から早く回復するには、どのような方法があるのでしょうか。筋肉疲労が起こるメカニズムには以下のような説があります。
- 筋肉を動かしたために疲労物質である乳酸がたまり筋肉を固くするため。
- 痛んだ筋肉を再構築するときに痛み物質が刺激するため。
- 筋肉が縮んでしまうため。
など、原因はさまざまで現在でははっきりと解明されていません。そのために、筋肉疲労の回復法も多様です。アスリートも実践(じっせん)している効果的な方法をご紹介しましょう。いろいろ試して自分に合ったものを見つけてください。
2-1.軽めの運動
「運動によって急激に作られた乳酸を血液が放出するのが追いつかずに血中に残るため、筋肉を酸性に変え固くなってしまう」…という乳酸説では、乳酸を素早く放出することが大切だとされています。
軽いストレッチなどを行い血液の循環をアップしましょう。あくまでも、気持ちがいいと感じる程度のゆるやかなストレッチにしてください。
2-2.軽い有酸素運動を行う
有酸素運動は血管の柔軟性を改善します。無理のない程度に軽い有酸素運動を行うことで血流がアップし固くなった筋肉の血管を柔らかくする効果が期待できるのです。軽めの有酸素運動としては、ウォーキング・水泳(ゆっくり泳ぐ)・自転車こぎなどがおすすめでしょう。
2-3.入浴をする
筋肉疲労を感じたときは、血液の流れが悪くなっています。そこで、入浴をして筋肉の血流をアップするのがおすすめです。ゆったりとお湯につかるのもよいのですが、より効果的なのは冷たい水と熱いお湯を交互に浴びる方法になります。
筋肉疲労を感じている部分に、冷水と温水を交互に5回ずつほどかけてください。冷たい、熱いを繰り返すことで筋肉内部の末しょう血管が広がり血流がアップして疲労が取れるのです。ただし、熱を持つほどひどい筋肉痛がある場合は、血流をアップすると痛みや炎症が悪化してしまうのでさけてください。
ジムに通っている人なら、サウナと水風呂を交互に入るのもよいでしょう。血行がよくなり、身体全体に感じる筋肉疲労を改善できます。
2-4.筋肉疲労を解消する飲み物
筋肉疲労や筋肉痛の回復・予防に効果があるのが「クエン酸」です。クエン酸は梅干しやレモンなどに多く含まれていますが、特に豊富に含んでいるものといえば黒酢でしょう。黒酢には筋肉の疲労回復のほかにも、血行促進や新陳代謝のアップなどさまざまな効果があります。
また、黒酢に含まれているBCAAと呼ばれるアミノ酸は、筋肉のタンパク質分解を抑制し筋肉疲労や筋肉損傷を軽減できると考えられているのです。そのために、プロのアスリートなども黒酢を愛飲しているのでしょう。
BCAAは、日常的に摂取することでその効果もあがります。習慣的に飲んでいると運動をしても筋肉疲労や筋肉痛に悩まされない身体を作ることができるでしょう。黒酢はそのままでもいいのですが、
- 黒酢+すだちなどかんきつ系の果汁+はちみつ+氷
- 黒酢+レモンスライス+炭酸水
- 黒酢+りんご果汁+炭酸水
など、アレンジするとより飲みやすくなるのでおすすめです。
2-5.十分な睡眠を取る
十分に良質な睡眠を取ることも、筋肉疲労を回復するためには大切です。特に「成長ホルモン」が活性化する夜の22時〜2時にはぐっすりと眠ることが重要になります。成長ホルモンは、新陳代謝を活発にして疲労を回復してくれる効果があるのです。
2-6.筋肉に有効な食事をする
運動が趣味の人、ジムに通っている人は筋肉疲労を早く回復するクエン酸・アミノ酸のほかにも、タンパク質・ビタミンB1・ビタミンB6・亜鉛を含む食品を積極的に食べるようにしましょう。
- タンパク質…脂身の少ない肉や魚、大豆製品。
- ビタミンB1…別名疲労回復ビタミンともいわれるほどのビタミンです。豚肉・タラコ・シャケ・アスパラガス・菜の花・青のりなどに多く含まれます。
- ビタミンB6…にんにく・まぐろ.牛肉レバーなど。
- 亜鉛…うなぎ・牡蠣(かき)・チーズ・レバー・卵黄・大豆製品など。
日常の食生活のなかにバランスよく取り入れてください。
3.まとめ
いかがでしたでしょうか。筋肉疲労のメカニズムは、乳酸を原因とする説や痛み物質を原因とする説などいろいろとあります。また、運動からくる筋肉疲労と精神的なストレスからくる筋肉疲労もあるのです。ひとくちに筋肉疲労といっても、その原因やメカニズムにはさまざまなものがあるということをおわかりいただけたかと思います。
筋肉疲労はそのまま放置すると慢性化し、ほかの病気を招くこともあるのです。そこで、自分に合った方法で軽いうちに回復することが重要になります。
また、日常的に筋肉疲労を回復してくれる食材を積極的に食べることもおすすめです。筋肉疲労に悩まされることなく運動を楽しんでください。